神奈川県逗子市にある、オステオパシーを専門とした整骨院。身体の不調の原因を追究し、改善していきます。

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歩き方・足・靴

靴を横から見ると、踵と爪先が上がっているのに気づかれると思います。これはヒールリフトとトウスプリングと呼ばれていて、足を地面に着けば自然と足首が動いて力を使わずに歩くことができるようになっています。靴を上から見ると、爪先は少し細めになっています。足の指や関節を安定させることで、より効率的な歩行を可能にしています。地面の凸凹からの影響を軽減するために、ソールにクッション性を持たせて、地面からの衝撃を吸収させているものもあります。足を保護する為にクッション性を持たせたり、楽に歩くためにさまざまな工夫を重ねて、靴は進化してきました。その結果、足は必要最低限の働きしかできなくなり、本来の機能が失われてしまいました。また、靴の形により歩行パターンが変化してしまった事もあり、足に関わるトラブルが増加してきています。そこで、インソール(中敷き)によるアプローチが発達してました。しかし、インソールは構造的な問題を抱えた方には有効でも、機能的な問題を抱えた方にとっては根本的な改善に繋がるものではありません。海外では靴に対する考え方が大きく変わってきています。足本来の機能を取り戻す事で、靴に関わる症状を軽減していくアプローチが発達してきています。その一つがベアフットシューズです。

問題点

ヒールリフト

ヒールがあると、歩く時に足首を最終域まで動かさなくなるため、気づかない内に足首の可動域が狭くなってしまいます。また、足首の構造上、ヒールがあると体重がかかった際に自然と足 首がロックする作用が働かないため、結果として筋肉や靭帯に負担をかけてしまいます。

トウスプリング

爪先が上がっていることで自然に足首が動いてしまうことから、足の指先を使う習慣がなくなってしまいます。人間の足底には知覚神経が多く、本来は体重のかかり方によって膝や股関節周 囲の筋肉が状況に応じて自然に収縮します。しかし、足底の知覚神経がにぶくなると足指の力が入らなくなるだけではなく、膝や股関節周囲の筋肉が弱まってしまいます。

足には多くの関節があり、本来は柔軟に動くものなのですが、トウスプリングを使って歩くには動きを固定してしまった方が効果的なため、爪先を細くして足の動きを安定化させています。それにより、足の関節の動きは低下し、場合によっては形の変形につながることもあります。爪先の細い靴の場合、足の中央部分を締めることで足先の幅を狭めているため、足の指先はほとんど動かなくなります。

ソール

革靴の多くは硬いソールにすることで、トウスプリングでの反動を強めています。長距離だとエネルギー的には効率的だと言えますが、人間の自然な関節の動きからは逸脱してしまっています。また、クッション性のあるソールは一見すると関節への負担が少なそうですが、筋肉にかかる負担を電気的に計測してみると、その効果を証明している文献が見当たらないのが現状です。本来は足のアーチや筋肉の収縮で歩行時のショックを吸収する作用があるのに、人間の知覚神経は使わなければ鈍麻します。ご年配の方の転倒の理由の一つが足底の知覚神経の低下だと言われていますが、私たちが足を使わなくなってきている事も原因になっています。

インソール

先天的な問題や何かしらの麻痺に対してはインソールを使った治療方法は有効です。しかし、可逆的な状態に対してインソールを使うことは足のアーチを支える筋力の低下につながる可能性があります。確かにインソールを入れた直後に弱化した筋肉の強さを検査すると改善していることもあるのですが、インソールを外すと筋力が弱くなってしまってしまいます。海外ではインソールを使った治療方法から自分の筋力を回復させる方法へ変化してきています。クッション性がある靴は地面からの衝撃を吸収してくれるため怪我が少ないと考えている方が多いと思います。しかし、実はその様なデータはなく、足底からのフィードバックが低下する事で怪我に繋がる可能性も出てきています。


改善のための二つの柱

1. ベアフットシューズ

ここ数年、海外ではインソールで足の機能を補うのではなく、ベアフット=裸足のように最小限の機能しかない靴を使う事で自然な足の動きを回復させていく方法が提案されてきています。普段使っている靴とベアフットシューズには以下のような違いがあります。

今までの靴 ベアフットシューズ
ヒールリフト
(踵が上がっている)
ゼロドロップ
(踵から爪先までフラット)
トウスプリング
(爪先が上がっている)
フラット
爪先が細い 爪先が広い
ソールが硬い ソールが柔らかい
クッション性がある
(場合によります)
クッション性なし
今までの靴 ヒールリフト
(踵が上がっている)
トウスプリング
(爪先が上がっている)
爪先が細い ソールが硬い クッション性がある
(場合によります)
ベアフットシューズ ゼロドロップ
(踵から爪先までフラット)
フラット 爪先が広い ソールが柔らかい クッション性なし

ベアフットシューズを使っていただくにあたって

実はベアフットシューズは10年ほど前にブームがありました。その際には大手のシューズメーカーもこぞって参入しました。しかし、急にサポートなしの靴を履いたため、怪我が多発して下火になってしまいました。私たちは歩き出した頃から一般的な靴を履いてきて、足のアーチを支える筋力が著しく低下した状態になっていることが原因でした。ここ数年、海外のリハビリテー ションやカイロプラクターが、改めてベアフットシューズの有効性を挙げているのを目にして、私もベアフットシューズやミニマリストサンダルを二年ほど使ってみました。歩き方や足の使い方がかなり違うため、事前に勉強して足の使い方を覚える必要がありましたが、一度ベアフットシューズに慣れてしまうと、今までの靴がどれほど不自然なものかが実感できる様になりました。多くのベアフットシューズメーカーのサイトを見ると、ただ履けば足の機能が改善するような内容が目立ちますが、実際にはある程度足の状態が良い方以外は、エクササイズが必要になります。そのため、ご自分の歩き方や筋力を改善して、自然な歩き方を手に入れたいと考えていただける方にこそおすすめできます。忘れてしまっていた身体本来の使い方を思いだすだけですので、ゆっくりと筋肉の使い方を練習していけば自然と足の機能は回復していきます。人間の身体にとって最も良いエクササイズは、より自然の状態で動く事です。長い間使っていなかった足の機能を目覚めさせるには、少しだけ時間が必要です。でも、その時間さえ惜しまなければ、足はより自然に動くようになり本来の機能を取り戻します。

2.トレーニング

脳は楽だと感じた動きを覚えます。靴の機能が増えると楽に歩ける感じがしますが、本来使わなくてはならない足の機能を使わなくなり、間違った運動パターンを脳が認識してしまうのです。靴の機能をできるだけ取り除き、足の動きに合わせて靴が柔軟に動く事が必要です。今までに適度な運動をしてきている方の場合は、歩き方や注意点を覚えていただければ、少し時間をかければベアフットシューズへの移行はそれほど難しいものではありません。しかし、日常の運動量が少なく足のアーチが低下している方の場合には、足の状態に合わせてケア+トレーニングが必要になります。私たちは、治療という側面からクライアントに接してきましたので、個人個人に合わせて必要なケア+トレーニングを提供しています。

どのような方に適しているのか

本当は症状がない方にこそ、早い段階で足の機能改善に取り組んでほしいと思っています。長年、治療という側面からクライアントの方に接してきて、しっかりとした症状が現れてしまってから改善するよりも、予防する事こそ最も重要な治療方法だと考えています。TPOに合わせてフォーマルな靴を使わなければいけない場面もあるのは理解していますが、できるだけ多くの方にまずは一度ベアフットシューズを試してほしいのです。特に足・膝・股関節を何度も痛めた経験がある方は、その状態を悪化させる前に足を自然の状態に戻して本来の機能を回復させる事をお勧めいたします。と言うのも、足の重要性を理解してから、ここ数年クライアントの足をチェックさせていただいてみると問題のない方が極端に少ないからです。

関節に痛みのある方

関節に痛みのある方には向かないのか?というと、そのような事はありません。ただし、トレーニングと合わせた導入が必要になります。また、炎症のある方は、治まった状態にしてから導入する必要があります。クライアントの状態に合わせてベアフットシューズとトレーニングを合わせる事で、より快適に正しい足の機能を改善していきます。

ランナー

靴の機能に頼った走り方をしていると、足の機能が低下している方が多いようです。タイムを出すためには、より剛性の強い靴の方が適しているようですが、足の使い方や筋力を回復させるには、ベアフットシューズが有効です。タイムを求める方は、筋肉の使い方をリセットすることができ、健康を求める方は、正しい筋肉の使い方を身体に思い出させるのに適しています。

野球・サッカー

スパイクを履いての練習が多い競技をしている方は、足の機能が著しく低下していることが多いため、日常の練習に取り入れていくことで、足の運動機能を改善しパフォーマンス改善に役立ちます。膝や股関節の痛みを抱えている方は、ご自身の筋力を確認(リンク)していただいて、もし極端に弱い筋肉があるようでしたら、ベアフットシューズとトレーニングで改善することができます。

産後

産後や長期の入院後の方の足を見させていただくと、重心のかかり方が変化していたためしょうがないのですが、足のアーチが低下している方が多いです。産後に腰痛を起こすのはホルモン変化で靭帯が緩むからと言われています。しかし実際は足のアーチが腰痛と関係していることが多く、産後や長期の入院後にご自分の歩き方を見直す事は重要です。

足のアーチ

足のアーチの機能は、未だに完璧な答えが出ていないと言うのが正直なところです。ただし、アーチを作るための筋力の低下が、足部のクッション性を低下させてしまい、膝や股関節への衝 撃が強まるのは分かっています。靴の生活を長いと、多くの人が足のアーチをコントロールすることができません。そのため、足に衝撃が加わった際に力を吸収する事が出来ずに怪我や故障 につながっています。私たちは足のアーチの使い方を覚えていただくのと同時に、クライアントのライフスタイルに合わせたエクササイズを提供しています。

私たちは本来の歩き方ができているのでしょうか? 靴が進化する事で、私たちの歩き方が変化してしまっていたら。つちや接骨院では、歩き方・足・靴について知っていただくことで、多く の方に楽しみながら身体に起こる変化を体験してほしいと願っています。